リボソームタンパク質S6キナーゼ(リボソームタンパクしつS6キナーゼ、英: ribosomal protein S6 kinase、略称: RSK)は、シグナル伝達に関与するプロテインキナーゼのファミリーである。RSKにはp90RSKp70S6Kと呼ばれる2つのサブファミリーが存在し、p90RSKはMAPKAP-K1(MAPK-activated protein kinase-1)、p70RSKはS6-H1 Kinase もしくは単にS6キナーゼ(S6 kinase、S6K)の名称でも知られる。p90RSKはヒトではrsk1からrsk4の4種類、p70S6Kは哺乳類ではS6K1とS6K2の2種類がある。RSKはセリン/スレオニンキナーゼであり、p90RSKはMAPK/ERK経路、p70S6KはmTOR経路によって活性化される。

基質

p90RSKとp70S6Kはどちらも、翻訳装置の一部であるリボソームタンパク質S6をリン酸化するが、他のリボソームタンパク質など、その他の基質もいくつか同定されている。p90RSKの細胞質の基質としては、PP1、GSK3、L1CAM(神経細胞接着分子)、Sos(RasのGEF)、Myt1(Cdc2の阻害因子)、核での基質としてはCREB-binding protein(CBP)やp300、ヒストンタンパク質(H1、H2B、H3)などがある。またp90RSKは、CREB、ERα、IκBα/NF-κB、c-Fosなどの転写因子も調節する。

RSKによるSOS1のセリン1134番と1161番のリン酸化は、14-3-3結合部位を作り出す。このリン酸化SOS1と14-3-3との相互作用はRas/MAPK経路を負に調節する。

構造

p90RSKとp70S6Kの大きな違いは、p90RSKには2つの同一ではないキナーゼドメインが存在するのに対し、p70S6Kはキナーゼドメインを1つしか持たない点である。

疾患との関係

p90RSKをコードする遺伝子RPS6KA3(RSK2)の変異はコフィン・ローリー症候群と関係している。この疾患は重度の精神・運動発達遅滞やその他の発達異常によって特徴づけられる。また、RPS6KA6(RSK4)の変異はX染色体連鎖性精神遅滞と関係している。

研究の歴史

RSKは1985年にEriksonとMallerによって、アフリカツメガエルXenopus laevisの卵から初めて同定された。ヒトでは、1994年にRSK1、RSK2、RSK3、1994年にRSK4が同定された。

出典

外部リンク

  • Ribosomal Protein S6 Kinases, 90-kDa - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)
  • Ribosomal Protein S6 Kinases, 70-kDa - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)

リボソーム内の化学的性質が翻訳中のタンパク質の立体構造に影響する テクノロジー・材料 TSUKUBA JOURNAL

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